不耕起栽培を始めるにあたって、どういう種を選ぼうか...
このページでは、不耕起栽培を始めるにあたってタネについて学んだことをまとめました。参考にした書籍・タネの販売サイトもご紹介しています。
🌻タネにも色々ある
調べていくと、タネにも色々あることがわかりました。
ホームセンターで売っているタネには、パッケージに交配種と書かれているものがほとんどです。この交配種ってなんなんだろう、そこからタネ選びはスタートしました。
☀️F1種・固定種・在来種について
タネにはF1種・固定種・在来種の3つがあります。
それぞれ調べたことを、覚書のようにこちらにまとめました。
『F1種(交配種)』
パッケージに「〜交配」と書かれているもののこと。
見た目が揃った作物が収穫できるため、大量生産に適した種と言える。スーパーで目にする野菜の9割がF1種の作物だそう。
どうして見た目の揃った作物ができるかというと、異なる性質を持つ親同士を掛け合わせて、親の優性(顕性)を引き出し、劣性(潜性)を陰に隠すという雑種強勢という現象(顕性遺伝の法則)を利用しているため。ただしこれは1代目に限ったことで、2代目以降は劣性が見え隠れし、見た目がバラバラになってしまうとのこと。
ちなみに自然のタネさんでは、販売されている交配種について以下のように説明しています。
自然農法環境下で草勢が強い、味・品質がよい、病害虫に強いなどの性質が異なる品種間のかけ合わせで生まれた品種です。揃いが良く、両親の平均よりも生育や耐病性、収量性に優れています。
自然のタネ
まとめると、「F1種は親よりも強く、見た目の揃った作物がたくさん収穫できるが、一代に限ったこと」となります。
F1種についてのより詳しい説明は、野口のタネさんもされていますので、そちらを参考に。
『固定種』
パッケージに「〜育種」と書かれているもののこと。
詳細は、翔栄ファームさんと野口のタネさんのホームページより抜粋させていただきました。
植物の品種改良つまり育種は、選抜と交配をメインにして行われてきました。これは人にとってよいものを選択し、それらをかけあわせて狙った品種を作りだしていく方法です。そして品種として定まった状態のものを、固定種といいます。細かい条件をなくして簡略化していえば「種をとって植えると次もだいたい同じようなのが出てくる」状態です。完成までには上記の育種過程に何世代もかける必要がありますが、そのぶん、個性が固定されていて安定しています。F1種登場以前は、売られている種や野菜はだいたいこの固定種でした。
翔栄ファーム
固定種は、自家採種が繰り返されたことにより、地域で変異を重ねた病害菌にも抵抗性を獲得していたのです。つまり固定種は、気候風土に合わせ、どんな病気にも対応できる可能性を秘めています。地域外から固定種のタネを取り寄せ、栽培開始した初年度はあまりうまく育たないものが多くても、栽培した中でいちばん良くできた野菜から自家採種して、そのタネを翌年まくと、どんどんその土地に適応して、無農薬でも、時には無肥料でも、病気にかからず大きく育つ野菜に変化していきます。固定種のタネは、選抜と自家採種によって、土地に合ったタネを産み、土地がそれをまた新たに育んでくれるのです。
野口のタネ
自然のタネさんで取り扱っている固定種については以下の通りです。
自然農法環境下で草勢が強く耐病性に優れていることなどを重視して選抜した品種です。すべて揃っているという意味ではなく、実際は、根や葉の形、大きさといった選抜を受け性質が一定にそろっていて他と区別できる品種です。
自然のタネ
まとめると、「固定種は、安定して作物が育ち、F1種と違って種の自家採取が可能。2世代以降も同じ品質の作物が収穫できる」と言えます。
『在来種』
こちらも、パッケージに「〜育種」と書かれているもののこと。
キーワードは、地域の風土に適応した品種ということ。
特定の地域に昔から生えている、もしくは栽培されている品種のこと。地域の風土や気候などに適応したもので、必ずしもイコールではないですが京野菜なんかの伝統野菜が代表例ということになります。必然的に品種としては固定されている可能性が高いですが、言葉の意味としては地域性という要素が強くなっています。固定種との違いをあげるなら、前者は人の意思が大きく介在しますが、こちらは言葉の要件的にはそれは特に必要ないって感じでしょうか。
翔栄ファーム
自然のタネさんでは、取り扱っている在来種について以下のように説明しています。
地域の風土に適応した品種を自然農法環境下で選抜した品種です。
自然のタネ
「タネの未来」の著者の小林 宙さんは「在来種=伝統野菜」と呼んでいます。日本や世界にもともとあった種のことで、F1種やGM品種(遺伝子組み換え作物)の普及により年々その数が減少していっているそうです。小林さんは若干15歳でタネの会社を起業しており、オリジナルトマトを栽培したり、全国各地の苗店をまわって固定種・在来種のタネを見つけて歩くタネの旅をされていたり、と興味深い活動をされています。小林さんが集めたタネは、鶴頸種苗流通プロモーションで購入できます。
参考にしたサイトはこちらです👉 南陵公民館、翔栄ファーム、野口のタネ、自然のタネ
🤷♀️どっちがいいの?消毒・未消毒のタネ
種子消毒については、調べてはみるものの、なかなか欲しい情報は得られていません。
ホームセンターで手に入る種子のほとんどは種子消毒されているとパッケージに記載があります。
信州山峡採種場 では以下のようにHPで種子消毒について説明しています。
種子消毒については、種子に付着する菌によって、生育が阻害される場合にすることになります。......ウドンコ病やベト病のように、作物全体に蔓延する病気は、種子から感染するのではなく、土壌からと周辺の植物から空気感染や飛沫感染します。ですから、種子消毒をしても、また、たとえ土壌消毒しても、それによって抑えることは難しいと思います。
信州山峡採種場
つまり、「種子に付着する菌が、作物の生育を阻害する場合には種子消毒を行った方がいい」と言えそうです。
自然のタネ で扱っている種は、どれも種子消毒がされていません。Garden203号室では、自然のタネで購入したタネと、ホームセンターで購入したタネを蒔いてみていますが、自然のタネで購入したタネは発育に勢いがあります。もちろん葉っぱがナメクジに食べられたり、虫に食べられたりなど多少はあります。ただそういったちょっとしたことは、タネを蒔く場所や周囲の環境を整えれば防げることのように思っています。
また種子消毒について何か情報が得られたら、こちらにUPしていきます。
📕タネについて学べる書籍
- 古来種野菜を食べてください : タネ選びについて考えるきっかけを与えてくれた一冊。「warmerwarmer」という古来種野菜を専門に扱う八百屋さんの代表、高橋一也さんが書いた本です。ちなみに古来種野菜とは高橋さんが名付けたもので、「伝統野菜」や「在来種」あるいは「固定種」と言われる野菜の総称で、種が代々受け継がれてきた野菜のことを指しているそう。古来種野菜の個性や特徴、また農家さんが代々大切に受け継いできた種子への想いなどが詰まった一冊です。
- タネの未来 : 雑誌「うかたま」で著者の小林宙さんのことを知り、この本に辿り着きました。小林さんは、若干15歳でタネの会社を起業されています。この本では、タネについての知識を広く得ることができます。 F1種のことはもちろん、遺伝子組み換えの種についても触れており、タネ選びの前に読んでおいて損のない一冊です。
🛒タネの販売サイト
知人からおすすめされたタネの販売サイトです。
- タネの森 : 農業職業訓練校に通った友人が訓練校の先生からおすすめされたタネのオンライン販売サイト。こちらでは農薬・化学肥料を使わずに栽培された自家採種可能な野菜、ハーブ、花のたねを販売されています。タネの原産国は世界各国。またバイオダイナミック農法で栽培されたタネの取り扱いもあります。
- 自然のタネ : 化学肥料、農薬を使用せず、自然農法で品種育成、種子生産をされています。さらに、採種後に種子消毒をしていないこと、遺伝子組換えやゲノム編集などの技術を使用していないことも特徴です。低地力の圃場でも根張りがよく、病気に強く虫がつきにくいものを選抜されているためか、取り扱われているタネの種類は少ないですが、交配種・固定種・在来種から選ぶことができます。
もうひとつ野口の種もおすすめされましたが、取り扱っている種の種類があまりにも多いため、今年は利用しないことにしました。代表の野口勲さんがまとめた、種の話アレコレは読むだけで勉強になります。
🌿1年目に選んだタネ
色々と踏まえて、2024年はタネの森と自然のタネより以下のタネを購入しました。
タネの森より
- イエローパーフェクショントマト: イギリスで作出された伝統品種の中玉トマト。
- 大豆
- 小豆
- シュヴァルツァーポップコーン
- つるなしインゲンミックス
- 金ごま
- ゴールデンフリルマスタード
- ロデリカにんじん
- クリムソンクローバー
- ヘアリーベッチ
- ジェノヴェーゼバジル
- ジャーマンカモミール
- 水菜
- ボリジ
自然のタネより
- 島村いんげん
- 地這きゅうり
- 黒小豆
- アマランサス
- 新戒青菜
- 筑摩野五寸(にんじん)
- 木曽紫カブ
一年目はこのラインナップで、Garden203号室に種を蒔いていくことにしました。途中買い足したものがあれば随時こちらにアップしていきます。
種を蒔いた様子もその都度アップしていきますので、お楽しみに⭐️
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